Heart
まるで花が綻ぶような笑顔を向けられ、俺の緊張していた頬も自然と緩んだ
「わぁっっ……
かわいいぃっ!!
ありがとう!おにいちゃん!ゆあ、たいせつにする!」
少女は一輪の花をぎゅっと抱きしめている
「君の名前、ゆあっていうの?」
「うんっ!みやのゆあっ!
ゆあねぇ、もう3つなんだよっ!」
自慢げに小さな小さい指を、不器用に3つたてている
「ねぇ、おにぃちゃんは?
おにぃちゃんのおなまえは、なぁに?」
「……龍太」
「りーた?」
上手く発音できずに首を傾げながら大きな瞳をぱちくりさせている
「うん、龍太」
「りーた!」
まぁ、りーたでもなんでもいいや
「じゃあ、りーにぃだね!」
興奮気味にフェンスに指をかける少女の手に力が入っているのがわかった
「それでそれで!
りーにぃはいくつ?どこからきたの?」
目を輝かせる少女はフェンスがなかったら飛びかかって来そうな勢いだ
「8歳だよ」
「はっさい…?」
少女には伝わらなかったようで、俺は左手で5を、右手で3を示した
「…わぁっ!いっぱいっ!!!!
こっちのお手手はゆあといっしょだね!」
どこまで伝わったかは分からなかったが、いいとした