Heart


「……結愛は…昔から泣き虫なんだな…」


龍太さんはくすり、と笑って白くて細長い指で私の涙をすくった


「…結愛の涙を拭いてやれる

あの時やりたくてもできなかったことだ

14年も経っちまったがな…」


「…嬉しいです

また、会えて、こんな私のことを…覚えていてくれて」


「…嬉しいのに泣くのか?」


「…嬉しい…時、だって……涙は…出ますよ



龍太さん…

私の命を……救って…くれて、ありがとう…ございます」


私は涙を止めることができないまま、微笑んで龍太さんを見上げた


龍太さんはそんな私を見つめながら、酸素マスクをずらして、私の涙で濡れている頬に手をそっとあてた


そんなに見つめられると、さすがに戸惑う



「龍太さ…んっ……!」


気がついた時には龍太さんの美しすぎる官能的な顔が近づいて、私の唇に一瞬だけ温もりを与えてから離れた


「…結愛の笑顔、14年ぶりに見れた

やっぱり結愛は笑顔が1番似合うな


そうやって手放しにずっと笑っていてくれ


でも、どうしても泣きたくなったら俺のところに来い

何度でも俺がその涙を拭ってやる


お前の涙を拭くのは俺だ、いいな?」



「……龍太さん…


……ありがとう…ございます…」


涙が溢れて止まない私を、龍太さんは再び力強い腕で抱き寄せた

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