Heart
龍太さんの服だという半ズボンのジャージとTシャツを着るとやっぱりぶかぶか
ズボンは腰の紐をキュッと結んで何とか履けたがTシャツに関しては袖が余ってしょうがない
(汚さないように着なきゃ…
特に鼻血がつかないように…)
病室のドアを開けて壁にもたれて立っている龍太さんに声をかけた
「…お待たせしました、龍太さん」
龍太さんは私を見ると一瞬目を見開いて微笑んだ
(あぁ…、そのお顔をされると心臓の耐久性が…)
「やっぱり大きかったな」
「ごめんなさい、汚さないように気をつけます…」
龍太さんは私の両腕の袖を器用に折ってくれた
(顔から火どころじゃない
マグマが出そうよ?)
「これなら気にしなくて済むだろ?」
「ありがとうございます」
思わず私は、はにかんでしまった
(やば、今私思いっきりニヤけた…)
どれほど引かれたかと思い、ちらりと龍太さんの顔を見上げる
すると龍太さんは片手で顔下半分を覆って私から目を逸らしていた
その顔は若干赤い…
(詰んだ……
めっちゃくちゃに引かれた…)
「…行くぞ」
龍太さんに手を引かれ私たちは病院を後にした