Heart
彼女は今、どんな夢を見ているのだろうか
現実が現実だ。夢の中くらい思いっきり笑えるくらい幸せであって欲しい
結愛の寝顔を見ていると色んな感情や思考が頭を支配する
いくら見ていても飽きないし、できることならずっと見ていたい
眠る結愛は、本当にお人形のようで。
真っ白くでキメの細かい、まるで陶器のような肌
クセのない細くてサラサラな真っ黒の長い髪
長いまつ毛
ほんのり赤みがかった頬
プルリと際立つピンクの唇
正直、早く目を開けて声を聞かせて欲しい
早く、俺を見て欲しい。俺だけを。
目にかかっている前髪を払ってから立ち上がり、静かにドアを閉めた。
リビングに行くといつもの顔ぶれがあった
今日は和也と仁と隼人の3人には休暇を与えていた
にも関わらず、3人は俺の家にやってくる
だいたい休暇を与えると、こんな風に誰からともなく集まってくる
結愛に紹介するためには都合がいいが。
結局、仕事か否かは口調の違いだけだ
仁「おかえり〜
あれ、龍太だけ〜?」
リビングのドアを開けた音に反応した仁がソファから顔を出した
隼人「あの子は?
退院してきたんじゃないのか?」
向かいのソファに座る隼人はゲームをしながら興味なさそうに聞いてくる
和也「ちゃんと退院してきたよ
でも帰りの車の中で寝ちゃってさ。今部屋で寝かしてきたんだ」
可愛いよね、と和也は微笑んで答える