Heart

龍太side




星ノ宮高校のことを話した時の結愛の反応は想像以上のものだった



確かに星ノ宮は少しは名の知れた高校であるが、そこまで驚かれるとは思わなかった



結愛の学力は星ノ宮に十分見合っていることを知っている。つい先日受けたという模試の結果を見せてもらったから。



それなりに有名どころの私大判定もいい



結愛にとって星ノ宮は相応の学校であろう



不安になる必要はこれっぽっちもないのだが、当の本人はあからさまに不安げ


何がそんなに不安なのかと


「校則は厳しくないから安心していいぞ」


と言えば、結愛は大きな瞳をさらに開いて何かを伝えて来るようであった


和也が来てヴェゾンドの話をすれば、結愛はさらに目を開く


更には食べていた昼食が変なところに入ったのか咳き込んでいる


(...........今日結愛の背中を擦るのは今日で何度目か.....)





結愛が食事を終え、和也とキッチンに向かったのを見計らって

俺はポケットに入った聴診器をリビングの隣にある書斎に置きに行った




久しぶりに入った書斎は少し空気が冷たい




机の上に無造作に置かれた医学書を手にして本棚にしまった



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