Heart


なぜか自分をコントロールすることができないことに戸惑いながら



とにかく和也から結愛を引き剥がしたい一心で結愛の腕を掴み、歩きだした



結愛を見れば後ろを振り返り手を振る和也を見ている



再び身体が熱くなるのを感じ、身体中に力が入る


「.....どこ見てんの」


結愛が見ているのが和也であることに無性に腹が立ち


結愛の腕を離しその代わりに華奢な肩を握り引き寄せた



隣の結愛が慌てていることは分かったが、そんなことに構ってられなかった



今はとにかく自分を抑えるのに精一杯なんだ



リビングを出て意図もせず、自分の部屋に入って俺の足は止まった



そして腕の中にいた結愛を思いっきり抱きしめた


結愛は身長は俺の胸の辺り


すっぽりと頭を覆うにはちょうどいい


結愛を抱き締めればパズルのピースが繋がるような感覚になり、ついさっきまでの感情が水に溶けるようにして消えていく


俺は高鳴る胸を抑えながら深呼吸をするかのように結愛を抱きしめた



「ケホッケホッケホッケホッ」



はっ...、と俺は結愛の咳でやっと我に返った



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