Heart
「そのせいで随分手狭な書斎になっちまったがな
読みたきゃ読んでいい
まぁ結愛が興味あるような本はあるか分かんねぇが」
「全部、医学書ですか?」
「まさか
数学書もある」
「あはははは.....
きっと龍太さんの読むものは私には到底理解できない本なんでしょうね...
大人しく勉強します」
「俺はリビングにいるから
なんかあったらおいで」
俺は最新の論文を手にして書斎を出た
──────
─────────
─────────────
リビングにて3時間程フランス語の論文を読み漁り
それからパソコンで自分の論文作成に勤しんだ
リビングのソファで慣れない体制で作業をして痛む腰に手を当て
ふと窓の外を見ると随分と暗くなっていることに気がついた。
時計を見れば、論文を読み始めてから5時間は経過していた
あれから書斎から一歩も出ていない結愛が気がかりで、様子を見に行こうと立ち上がった時に、インターホンは鳴った
(どうせあいつらだ
鳴らすだけ鳴らして勝手に入ってくる)
案の定、俺が玄関に行かなくともガチャリとドアの開閉音がして足音が近づいてきた