Heart
俺は隼人に目で合図を送り、トイレを探すフリをして監視カメラの位置を特定させた
死角を見つけない限り情報伝達も難しい
俺たちは全員、下手に動けないでいた。
ここでは携帯をいじることもできない
隼人の帰りを待つしかなかった。
真っ暗な船内から見える真っ暗な海は綺麗なんてものではなかった
月明かりが1本の白いラインとしてゆらゆらと揺れるだけの真っ暗な海は、静か過ぎて、何かを飲み込むかのようにも感じる
冷たい潮風に当たりながら、思うことはやはり結愛のことだった
発作を起こしていないだろうか、そばにいなくても平気だろうか...、そんな心配ばかりが後悔として思い浮かぶ
(いや、遥太に任せてあるから心配する必要は微塵もないのだが.......
遥太の聴診、結愛は怖がったりしないだろうか)
心配は尽きない。
海を眺めていた俺の背後に隼人の気配を感じ振り返る
(早かったな.........)
近づいた隼人からそっと小さな紙切れが渡される