Heart




とりあえず葉月からの連絡を待つ間、瀬尾組からの任務に着手するために隼人をここに残して移動しようとした時




奥の物陰から黒い影がヌルりと動いた。





怪訝にそれを注視すると、俺と全く同じ背格好、顔の人間が出てきた。




まるで姿鏡を見ている錯覚を覚える




きっと、どちらが本当の俺か見極めるなんてことは仁ですらできるかどうかだろう




(.......葉月.......


船に乗り込んでいたのか.......)




隼人の顔を見れば、心底驚いた表情をしていた



それもそのはずだ



年に一度、姿を現すか現さないのかの存在が急に物陰から出てくるのだから。






葉月『状況は理解致しました』




俺たちだけの手話も教えてもないのにそつ無く使いこなしている




葉月『私の方は準備万端ですのでいつでも代われます。


いかがなさいますか』




代わるタイミングも重要になってくる。





監視カメラの死角にいる今がベストなタイミングなのか?




慎重に判断しなければならないがそれに掛ける時間もろくにない





少し悩む俺に葉月が再び手を動かした





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