Heart
かび臭く埃っぽい空気に吐き気を覚えながら着いたボイラー室には幸い監視カメラはなかった
暗い中、非常口を探す
その途中で携帯に隼人からのメールが届いた
『結愛様の居場所は現在特定中です。今しばらくお待ちください
今、桐ヶ谷を横浜港に迎えに寄こしましたので、桐ヶ谷のバイクで一度我らの倉庫へお戻りください』
俺のバイクは黒龍の倉庫に一度戻らなければならないし、常に鍵は俺が持っておりそのバイクは俺以外誰にも動かせない
これで陸に戻ってからのルートは確保できた
後はここからどう抜け出すかだ。
(距離的に泳いで戻ることも、救命ボートを出して漕いで戻ることも現実的ではない
船が陸に戻るのを待つのが妥当だろう)
時間が惜しいが、ここは待つしかない
しばらく自分の形態を駆使して情報収集をすることとした。
その家庭の中で情報の隠蔽の仕方になんとも言えない違和感を感じた。
この隠蔽の仕方は、なかなか巧妙なやり方で情報を操している人間がいるとしか考えられない。
これでは俺が集められる情報には限りがある