Heart



龍太さんはそのまま私を抱き上げて草木の影に隠れるように少し移動させた




龍太「.........結愛、発作はあったか?」




私はとりあえず訳も分からずに首を横に振った




龍太「少し深呼吸して」




そう言って龍太さんは意識が朦朧とする私の胸元に耳を押し当てた




恥ずかしさはあったが抵抗なんてできる余裕は私の体力にはなかった




龍太「酷いな

後で吸入な.....、それから手枷も後で取ってやるからもう少し我慢してくれ


結愛?結愛、しっかり意識を保って」




頬っぺたをペチペチと叩かれる




龍太「ここには長居できない



すぐにここを離れなきゃならん.......



お前には何とかしてバイクに乗ってもらわないといけないんだ.......



もう少し頑張ってくれ」





私は最後の力を振り絞って何とかして意識を呼び起こし、首を縦に動かす




もはや私は声を発することすら出来なかった





私の様子を見て龍太さんは私を抱き上げて急いでどこかに移動した




龍太さんの腕の中はどこにいるよりも安心のはずなのに




龍太さんから微かに漂う血の匂いに、戸惑い




心の底から安心することは出来なかった





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