Heart
バラけて退却する奴らを見送って、バイクの後部座席に結愛を降ろした
何とか意識は保っているが終始無言の結愛
“もうちょっと頑張れよ”と声を掛ければ黙って頷くだけ。
結愛にヘルメットをつけてやり、乗り込んだ俺と結愛の身体をベルトで固定した
「...耐えてくれよ.......」
そう呟いて俺は静かにバイクを走らせた
─────────────
────────
────
俺は目的地についてバイクを止めた
そこは遥太の病院でも、俺の住むマンションでも、組の屋敷でもない
緊急事態用の隠れ屋のひとつ
見た目はただのボロボロの格安アパート
こんなところに若頭がいるなんて想像できないだろう
(.......本当は病院に戻って処置をしたいが
病院の周りも瀬尾組が監視しているに違いない今は、結愛を連れて近づくことを避けたい)
結愛の身体を支えていたベルトを外し、彼女を支えながらバイクから降りた