Heart



そこに意識はほとんどないのに目だけは何とかして開いている結愛




ずっと目を開いたままの人形のようだ





自力では動けない結愛を抱き上げ部屋に急いだ




この建物は、見ためは古びたただのアパートだが中は全く違う




中の壁の一切をとっぱらった、ひとつの広い空間になっている




しかも、病院同様とまではいかなくとも、それなりの医療器具を揃えており、見た目とは異なって中は清潔な空間だ





黒崎組や黒龍のケガした奴らの緊急処置・避難場所として設けていた施設だ






俺は近くのベットに結愛を降ろし、吸入器を結愛の口にあてがった




意識があるのか定かでは無いが、結愛は俺が薬を噴出するタイミングで吸ってくれている




「ゲホゲホッッゲホッッゲホゲホゲホ」





「今ので終わりだ


よく頑張った.........


...........もう休んでいいぞ」





俺の声で、結愛の虚ろな瞳は充電がきれたように静かに閉じ、俺の腕の中で意識を飛ばした





結愛の身体を横たえ、その細い腕に機械や点滴を繋ぐ




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