Heart
「.......どうか.........されましたか.....?」
酸素マスクで曇った結愛の声
「いや、何でもない
身体の具合はどうだ。どこか痛いところは?」
「...........いえ
大丈夫です.....」
結愛の“大丈夫”は大抵の場合大丈夫では無い
「片足捻挫してたぞ
変な飛び降り方したな」
意地悪く笑ってそう言えば、結愛は苦笑いを浮かべて、少し恥ずかそうに布団を上にあげ顔を隠そうとした
だから俺は布団を掴んで止めた
「布団かぶんなよ
それから、喘息また酷くなってた。目の前でタバコでも吸われたか?」
「...........はい」
「少し音を聞かせてくれ」
“はい”と頷いて彼女はパジャマの裾を掴んで少し浮かせる
俺は手で温めた聴診器を耳にかけ、結愛の服の中に手を滑らせた
「はい、深呼吸してて」
肺は相変わらず雑音で酷い音だ
心臓は.............
.....今は規則正しく動いてくれているようだ