Heart
「…起きたばかりで喋らせて悪かった
とりあえず今は吸入だけしてゆっくり休め
俺はずっと結愛のそばにいるから不安がることはない」
「……龍太さん……」
「ん?どうした?」
「……龍太さんのお顔の色が…………
あまり優れないような…………
ご無理、させてしまってますよね……
ごめんなさい」
そう言って白くて細い結愛の腕が、俺の頬に触れようと必死に上に伸びてくる
俺はその腕をそっと掴んで自分の頬に当てた
自分の顔色を指摘されたのなんて何年ぶりだろうか
冷えきっていた心の奥が太陽の光が差し込んで温まっていくような
そんな錯覚に襲われた
「…………龍太…さん?」
腕を伸ばしたのは結愛自身なのに、俺の行動に少し戸惑っている様子
「俺なんかより結愛の方がよっぽど顔色悪いよ」
俺はそう言って
吸入させるために結愛の上半身を起こした
(……体温上がったな
俺のことより自分のことを心配して欲しいものだ……)
「ほら、早く吸入終わらせて寝な」
吸入器をいつも通りに結愛の口元に持っていく