Heart
呼吸をする度に「ひゅー」という音が肺から聞こえてくる
龍太「結愛、呼吸浅くなってる
ちょっと顎あげような」
優しくクイっと顎が上げられ気道を作られる
龍太「誰か、鼻チューブの酸素マスク持ってきて」
龍太さんが看護師さんに指示している声が聞こえてくるが、その声がだんだん遠のいていく
視界がぼやけはじめ、私の意識は朦朧とし始めた
龍太「結愛、しっかりしろ
もうちょっと頑張れ」
鼻に酸素チューブをつけながら私の頬を叩いて意識を戻そうとする龍太さん
意識を戻そうとした反動で耐えていた咳が崩れるようにして出てきた
苦しさのあまり自力で座っていることができず龍太さんに全体重を預ける形になる
「ゲホゲホゲホゲホッゲホゲホゲホゲホゲホゲホゲホゲホッゲホゲホッッ!!
ゲホゲホゲホゲホッッゲホゲホ」
あまりの苦しさに耐えきれず、シワひとつない龍太さんの白衣を握りしめる
龍太「アドレナリン0.2mm!」
看護師「は、はい!」
龍太「急いで」
遥太「ごめん、待たせた
結愛ちゃん、苦しいけど吸入しようね
口開けられる?」
再び意識が朦朧とする中、口元にいつもと違う吸入マスクが充てられ、蒸気とともに粉状の薬剤が送り込まれてくる