Heart
心無しか、肺と同じくらい心臓も聞かれているような感覚がした
バクバクとした心臓はなかなか落ち着いてくれない
いつもよりも聴診の時間が長いように感じる、たぶん長い
龍太「結愛、深呼吸頑張れる?」
コクリと小さく頷き、吸入しながら深呼吸を繰り返す
その時
「アウゥ…いっ」
遥太「どうした?結愛ちゃん」
私は一瞬、心臓が握り潰されるような痛みを感じ、声をもらしてしまった
何度も経験はしているが、龍太さん達に見られているところでなるのは初めてだった
「ハァハァハァハァ
なん…でも……ない………で…す…………
ハァハァハァハァ…ゲホゲホッ」
龍太さんの綺麗な顔には額にシワがよっていて、明らかにいつもの優しい龍太さんの顔ではなかった
龍太「…………
もういいぞ
キツかったな、お疲れ様
検査は落ち着いたらやろうな、今日はもう休もう」
いつもの優しい表情に戻った龍太さんにそう言われると、なんだか安心して、急に瞼が重たくなった
龍太「もう寝ていいぞ
安心しな」
遥太「お疲れ様、結愛ちゃん」
私は龍太さんの白衣を握りしめたまま瞳を閉じた