Heart
遥太「ほい、体温計」
遥太に渡された体温計を結愛の細い腕の間に挟む
ピピピ…
「37.9°か」
遥太「こりゃこの後熱上がるな、冷えピタ持ってくるわ」
「あぁ」
発作の後に熱が出るのはよくあることだ
わかってはいるが、少し荒い呼吸をしている結愛を見ると、まるで自身の身を削られるような思いだった
代われるなら代わってやりたい。
結愛はこんな小さい身体で耐えすぎている
変わりすぎた生活環境、ストレスによる喘息、それから心臓の異常
いつか、壊れる。
そんな気がしてしまう。
身体だけでなく、心も。
遥太の持ってきた冷えピタを貼り
俺と結愛だけになった病室は不気味なほど静かだった
何も言わず結愛の小さな頭をそっと撫でた
酸素マスクとモニターをセッティングだけして俺は病室を後にした
それはこれ以上結愛の辛い姿を見たくなかったから。
組の者を1人護衛につかせて、俺は今回の騒動を完全に鎮めるために組に戻った