Heart
ある程度キリをつけてから携帯に目をやると新規メーセージが1件届いていた
相手は遥太から
内容は結愛が目を覚まし、顔色も悪くないとのことだった
ふいに自分の頬の筋肉が緩むのが分かった
冷たい空気が流れていた事務所がいっきに暖まったような気分になる
結愛の元に駆けつけたい衝動を抑え、本家に行くために組員に連絡をとる
「俺だ
悪いが車を用意してくれ、本家に行く」
手っ取り早く身支度を済ませ、事務所前につけられた車に乗り込む
「本家に」
「承知致しました、若」
動き出した車の中はいつも以上に広く、物足りなさを感じさせた
(ここ数週間で結愛が隣にいることに慣れすぎた……)
今までいなかったとは思えないくらい、結愛がいないだけで違和感を感じる自分がいた
窓に流れる街の景色を瞳に写しながらも、頭の中は結愛のことだった
「若、お疲れ様でした
本家に到着致しました」
「……あぁ
ご苦労だった」
開けられたドアから降りると、いつもの景色が広がっていた