Heart



(結愛の体調がそれまでに回復してくれればいいが…)



こんな時でも考えるのは結愛のことばかり。



しかし、黒崎組若頭として生きると決めた身だ




重要な会議に出ないわけには行かない。



「……必ず出席致します」



親父「期待している



それで、今日はゆっくりして行けるのか」




「いえ、自分は行くところがありますので」




親父「そうか


たまにはゆっくり息子と酒を交わしたかったんだがな」



「それはまた後日に


では、私はこれにて失礼します」



親父「あぁ、気ぃつけてけ」



最低限の会話を終わらせて俺は部屋を後にした




早く結愛の顔が見たくて



はやる気持ちが抑えられずに、廊下を急ぐ




組員「若、どちらへ」


足早に歩く俺に慌てた組員が声をかけるが、俺は振り返ることも無く端的に答える


「遥太の病院に行く

車を用意してくれ」



組員「承知致しました

すぐにご用意致します」



スピードを落とすことなく曲がり角に差し掛かる


その出会い頭に誰かとぶつかった



「っと…

悪i……」


ぶつかった相手を見て驚きから「悪い」の「い」が最後まで発音できなかった


< 330 / 363 >

この作品をシェア

pagetop