Heart
(結愛の体調がそれまでに回復してくれればいいが…)
こんな時でも考えるのは結愛のことばかり。
しかし、黒崎組若頭として生きると決めた身だ
重要な会議に出ないわけには行かない。
「……必ず出席致します」
親父「期待している
それで、今日はゆっくりして行けるのか」
「いえ、自分は行くところがありますので」
親父「そうか
たまにはゆっくり息子と酒を交わしたかったんだがな」
「それはまた後日に
では、私はこれにて失礼します」
親父「あぁ、気ぃつけてけ」
最低限の会話を終わらせて俺は部屋を後にした
早く結愛の顔が見たくて
はやる気持ちが抑えられずに、廊下を急ぐ
組員「若、どちらへ」
足早に歩く俺に慌てた組員が声をかけるが、俺は振り返ることも無く端的に答える
「遥太の病院に行く
車を用意してくれ」
組員「承知致しました
すぐにご用意致します」
スピードを落とすことなく曲がり角に差し掛かる
その出会い頭に誰かとぶつかった
「っと…
悪i……」
ぶつかった相手を見て驚きから「悪い」の「い」が最後まで発音できなかった