Heart
それだけ言うと俺はさらに奥の調剤室に向かった
(医師免許に加え、ただの興味本位で取得した薬剤師の資格もあってよかった……)
凪翔の体重に合わせた量の薬を調合し、薬剤を作る
(頓服と、抗生剤…トラネキサム酸でいいか……)
調合を終えた薬を袋に閉じて、先程の組員に渡す
「これ、指示通りに服薬させろ」
組員「わかりました」
「じゃあな
俺はもう行く
…凪翔………」
潤んだ目で俺を見つめる凪翔に声をかける
「ちゃんとメシ食って元気になれよ」
凪翔「あ、あの若……」
「なんだ」
凪翔「……ありがとう、ござい…ました」
不器用に頭を下げる凪翔の頭をクシャリと上から撫でる
「またな、凪翔」
俺はその足で自室に向かい、スーツに着替えようとしたが、敢えて黒のパーカーを選んだ
(…私服の方が病院歩きやすよな………
他の患者診察するわけでもないし…)
そのまま久しぶりの本家を後にした