Heart



龍太さんは綺麗な左手で助手席のドアを開ける




「え、いいんですか…?


助手席ですよ?」




龍太「だからお前を座らせるんだろ


嫌か?」



「そんな、滅相もないです


光栄すぎて………」



龍太「相変わらずお前は面白いな」



私の頭に手をおき指先でポンポンと撫でられる



龍太「ほら、早く座って」



言われた通りに、いかにも座り心地の良さそうなシートに腰掛ける



(座り心地が良さそうなんてもんじゃない


吸い込ませるような安心するような座り心地……


いけないいけない、


深く座ったら汚れちゃう


できるだけ浅く腰かけなきゃ)



龍太さんが反対の運転席に乗り込んで、一気に距離が近くなって再び私の心拍をあげた



ふんわりと龍太さんの香水が香ってくる



(…ああ、もう変態でいい

とりあえず、神様ありがとう)



シートベルトをしめてエンジンをつける



その流れがあまりに自然でいちいち心臓が踊る



しかもその上サングラスまでかけるときた。



(お兄さん、そりゃ反則ですぜ…)

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