Heart
「目、覚めたか」
凛とした、男の人の声が聞こえてきた。
その声の主を知りたくて、振り向こうとするが
腕に力が入らずそれは叶わなかった。
その人の足音はだんだんと近づき
その人の声は頭上から聞こえるようになった。
私は恐怖で全身が震えた
歯がガチガチを音を立ててしまうほどに。
「怖がらなくていい。
手を出したりはしない。
俺たちはお前を買った奴らとは違う」
私は後者の側にいることをしり、すこしだけ安堵した。
「少し触れるぞ」
大きな手が私のおでこに触れ、私は少しビクっとしてしまった。
「大丈夫だ、安心しろ」
軽く頭を撫でられ
あまりのしんどさに目をまとも開けられないが
その人の優しい顔が思い浮かんだ。
「熱、また上がったな」
その人は私を抱き上げ、再びベットに戻した
ほとんど意識はなかったが
なにか横でガチャガチャと作業しているのはかすかに聞こえた。
「もう眠っていいぞ、ゆっくり休め」
その一言で私は、眠りの世界へと誘われた。