Heart






「呼び捨てで呼んで欲しいんだと」




私の頭の上から凛とした




でも優しい声が聞こえてきた。




「え…?」



「和也はお前に“和也”って呼ばれたいんだとさ」




「……難しい…です」




「まぁ、普通そうだよな」




「あ、ごめんなさい


寄りかかってしまって…


私、重いのに…」





「重くねぇよ


むしろもうちょっと太った方が健康的だぞ」





真顔で冗談を言う黒崎さんに少し笑えた





「…黒崎さんみたいな


真面目そうな人でも冗談って言うんですね」




私は少し笑いながら黒崎さんを見た。




少し彼の顔がムッとした




「結愛


俺は“龍太”だ」




…?


だから知ってる…。



…?



あっっっっっっ!!!!




「いや、黒崎さんこそ呼び捨てになんて



お呼びできないですよ?」




むしろその美貌に“様”を付けて



しまいそうなくらいだ




< 55 / 363 >

この作品をシェア

pagetop