Heart
「呼び捨てで呼んで欲しいんだと」
私の頭の上から凛とした
でも優しい声が聞こえてきた。
「え…?」
「和也はお前に“和也”って呼ばれたいんだとさ」
「……難しい…です」
「まぁ、普通そうだよな」
「あ、ごめんなさい
寄りかかってしまって…
私、重いのに…」
「重くねぇよ
むしろもうちょっと太った方が健康的だぞ」
真顔で冗談を言う黒崎さんに少し笑えた
「…黒崎さんみたいな
真面目そうな人でも冗談って言うんですね」
私は少し笑いながら黒崎さんを見た。
少し彼の顔がムッとした
「結愛
俺は“龍太”だ」
…?
だから知ってる…。
…?
あっっっっっっ!!!!
「いや、黒崎さんこそ呼び捨てになんて
お呼びできないですよ?」
むしろその美貌に“様”を付けて
しまいそうなくらいだ