Heart



痛みを覚悟して身体を起こしてみる。



しかし思った程の痛みは伴わなかった。



点滴台に手を掛け思い切って立ち上がってみる。




足の筋力がかなり落ちていることは感じたが歩けない程じゃない



広い病室をゆっくり歩き扉をそっと開けて廊下に顔を出した。



部屋のすぐ前にはスーツ姿の長身の男性か壁に背を預け腕を組みながら下を眺めて立っていた。



パーマをかけた髪の毛が少し遊んでいる




初対面では可愛らしい人だと思ったけど、こんなに身長が高いなんて思わなかった



「………和也さん…?」




私にご飯を作ってくれた笑顔が可愛らしい和也さんとは少し雰囲気が違うけど、間違いなく彼は和也さんだ




「……っっっっ!!!!!!

結愛様っっっ!!!!!!!!」



「………?」



少し堅い雰囲気から一変



目を見開いて彼が焦るように驚いていた。



そんなに驚かれると逆になんか申し訳ない。



というか、なぜ私は“様”を付けられているの?




迷惑をおかけしているに間違いない私をなぜ。




私も“様”付けて呼んだ方がいいのかな。



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