Heart
「…和也さん
龍太さんは…」
「若は今お仕事中
しばらくは俺で我慢してね」
「……我慢だなんてそんな……」
「俺、先生呼んでくるからちょっと待ってて」
部屋に一人取り残される。
これからどうやって生きていこう。
今まで考える余裕なかったけど、いよいよ現実を見て考えなくてはいけない。
今頃お父さんとお母さんはどうしているんだろうか。私は売られた立場だから家にも帰れないんだよね。
高校にだってきっともう行けない。
私の居場所は世界中探したってもうどこにもない
描いていた未来なんて、どこにもない
私にあるのは3000万の借金、ただそれだけ。
私は運良く龍太さん達に拾ってもらった汚い捨て犬にすぎない
この簡易的な居場所にいつまでも居ていいわけじゃない。汚い犬は早く出ていかないといけない。
「………はは…」
静寂の中私の乾いた笑い声が虚しく響き渡る。
こんな状況でも笑える自分が無性に可笑しくて
また笑えてくる。
本当にどうするのが正解なのかが分からない。
誰かに教えて欲しい……。
助けて
欲しい……。
ケホケホ……
私の乾いた咳の音だけが部屋に残った