Heart
本来なら女医を呼んで代わりに聴診してもらうべきなんだが今回はできない。
彼女の情報が漏洩する可能性を少しでも抑える必要がある。特に今は。
「怖いのに無理させてごめんね、結愛ちゃん。
もう服戻していいよ」
俺の声で固く瞑っていた彼女の大きな瞳ゆっくりと開き「ありがとうございます」と掠れた声が聞こえてきた。
俺は手っ取り早く点滴を変えてベットサイドのイスに座った。
「ここは俺の親父の病院だよ。龍太に連れて来られたことは覚えてる?」
「…はい、覚えています」
「君が病院に来た理由さ、まぁ龍太に色々事情があったのもあるんだけど、主な理由は君に喘息の症状があったからなんだよね。
ほら今さっきも喘息の発作出たでしょ?
たぶん薬の使い方分かってなかったっぽいから病院で喘息って言われたのは初めてだよね?
あーやって激しく咳が出ること今までもあったのかな?」
「…喘息…ですか。私が……。
咳は、ここまで苦しいのは初めてでした…」