Heart
「そっか。じゃあストレスからきてる一時的なものかもしれないね。
あまり神経質に考えなくていいけど、煙を吸い込みそうな場所には近づかないように気をつけるようにしようね。例えばタバコを吸ってる人の近くとか。あと、そうだ。花火の時に風下に行かないとかね」
「…はい……」
「どんなに気をつけていても発作になることはあるから、その時はこの吸入器をさっきみたいに使うこと。だからこれからどこ行く時にもこれは持って行って。まぁたぶん龍太が持ってるだろうけどね」
「…分かりました。ありがとうございます」
「ちなみに今どこか痛いところとかある?」
「いえ、大丈夫です」
「…そう?呼吸がしにくいとかもない?」
「はい、違和感は感じないです」
「…そう。それならそれでいいんだけど。
あ、熱測れる?」
胸ポケットから体温計を出して渡すとすぐに折れてしまいそうな細い手を差し出して受け取った。
ピピピピピピピピピ…
鳴った体温計を彼女が脇から取り出して表示された数字を見て表情を曇らせた。
なかなか渡してくれない。再び発熱してしまったのか。
「見せて?」
体温計の先端部分を拭いて、しぶしぶといった感じで渡された。
「……お願いします…」