Heart
体温計には38.6℃の文字が。
「あぁちょっと、て言うかだいぶ熱あるね。しんどい?」
「…いえ、本当に大丈夫です」
「辛くなったら別の点滴入れるから言ってね。
あと、冷えピタも貼っておこうか
大丈夫だよ。発作の後に発熱することは決して珍しいことじゃないから」
冷えピタを貼って、ついでにそっと彼女の頭を撫でた。
(しまった。ついやってしまった。
怖がらせてしまっただろうか)
俺は頭を撫でてしまったことを後悔。
「ごめん。触っちゃった」
「…いえ、そんな。大丈夫です
ありがとうございます」
またしても笑顔を顔に貼り付けている。
これでは彼女の感情が読み取れない。
「……無理に笑わなくていいんだよ?」
聞こえるか聞こえないかぐらいの声で呟いた。
「……え…?」
「ううん、なんでもないよ。
熱、キツかったらナースコールしてくれていいから。たぶんまだ体力戻ってないだろうからそのうち辛くなってくると思う。とりあえず頓服だけ飲んで欲しいから、俺今から取ってくるね。それまで起きてられそう?」
「はい、大丈夫です。ありがとうございます。
ちゃんと起きてます。よろしくお願いします」
「まぁ眠かったら寝てもらっても大丈夫だけどね
和也、若様はいつ頃お戻りだ?」
俺は振り返って入口付近に控えていた和也に声をかけた
「今こちらに向かっていると報告を受けております。
20分以内にはこちらにお戻りになられるかと」
「あいよ、了解。
俺薬取ってくるからしばらく結愛ちゃんをよろしくな。」
「承知致しました」
俺は和也に近づいて耳打ちした。
「龍太が来たらすぐに聴診して俺に報告するように伝えろ」
「承知」
和也の返答を聞いて俺は部屋を後にした。