お兄ちゃん、すきです。



「え?恭矢さんが…?」


あれは確か中2の時だった


母が口元を手で押さえて話していた


ただ事じゃないってことはわかった



「…お母さん、どうしたの?」


「ゆづちゃん…」



受話器を置いた母に声をかけた
こちらを向いた母の目には涙が



「お母さん…?」


私がそう呟いた時、母が私を抱きしめた


「伯母さんのね…旦那さん覚えてる?…亡くなったんだって。」

「え…?」

「ガンだったらしくてね…気づいて病院行った時には末期だったって…」



涙をこらえ、掠れた声で言う母


私はそんな母を見て、背中に手を添えた



「うっ…ごめんね…ごめんね…」



私の腕の中で小さく泣く母

こんな母を見たのは初めてだ。いつも何があっても笑顔でいてくれた母が。



(……周兄…)


ふと頭をよぎる人


あの人は…どうしてるんだろ
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