今夜、お別れします。


「田丸さん、どうして?」


「俺の事を利用した、罰、かな?」


「り、利用って。だからってキスなんて……」


「あれ?もしかして違った?羽山さんは桐谷さんと内緒で付き合ってる。だけどキミは桐谷さんと他の子の浮気現場を目撃してしまった。傷ついたキミは同じように浮気してやろうと考えて、俺を利用したってとこでしょ?」


さっきから、ズバズバと当たらずとも遠からずなら言葉を紡ぐ田丸さんに反論することもできない。


確かに桐谷は、千歌ちゃんと浮気をしてた。

キスだけだったのか、そこから先があったのかは知らない。知りたくもない。

でも、だからって私は本気で浮気するつもりなんてなかった。

田丸さんと、桐谷ではない人と食事に行くだけでも、少しは気が晴れるかと思った。


見られたって、食事に行っただけだから、そこまで責められるはずはないと高を括った。


こんな、本当にキスなんてしてしまったら、桐谷と同じじゃない。


私まで浮気してどうするのよ。

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