シンデレラのドレスに祈りを、願いを。
現金な悠季くんに呆れながらも、私は内心、喜んでいた。今日は、少なくとも今日はサヨナラの時間を気にしなくていい。

狭い6畳間にシングルベッドと単身者用の小さいコタツ。ひとり暮らしの部屋を見るのも初めてで悠季くんはキョロキョロとしていた。

ふたりでコタツにあたり、途中のコンビニで買ったケーキとローストチキンを食べた。質素な食事でも私と悠季くんにとってはどんな料理よりご馳走だった。

それからプレゼントを交換した。私からはストライプのマフラー。首に巻いてあげるとあったかいねと喜んでくれた。

そして……悠季くんからのクリスマスプレゼントは指輪だった。シンプルなデザインのペアリング。内側には互いのファーストネームが刻まれていた。





*―*―*


1月に入ると、悠季くんと会えない火曜日が続いた。受験シーズンに突入し、さすがの悠季くんも勉強に勤しんでいるんだろう。

このままフェイドアウトがいいのかもしれない。もし大学生になった悠季くんと関係が続けば、あんなことばかりをしてしまいそうで怖い。


あれ……そういえば。
来るものが来ないことに気がついた。体もどこか熱っぽいし、食欲も落ちた。ひょっとして。

私は仕事帰りにドラッグストアに寄って検査薬を購入した。結果は陽性だった。

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