シンデレラのドレスに祈りを、願いを。

「悠季くん……」
「いろんな女の子とつき合ったよ。そのときは楽しいんだ。でもどんなにつき合っても何かが違う気がして。ほらジグソーパズルって合いそうで合わないよね。そうかな?って思うピースを強引に押し込んでつなげてもあとで無理が来る。それと同じ。誰と寝ても早百合さんじゃないってことに気づいてから女の子を誘うのをやめた」
「そう」
「上手だった? 僕」
「うん。今はもっと上手?」
「かもしれないよ。確かめてみる?」


悠季くんの手が私の腰に伸びた。くびれをなぞる。その手の甲を私はぺちんと叩いた。


「だーめ」
「早百合さんのケチ」


悠季くんはその手をつかんで口元に持って行く。ちゅっ、と薬指のリングにキスを落とした。


「それからは早く大人になりたくて。大人になれば興信所も相手にしてくれる。だからホテルズの仕事の手伝いをした。そしたらパーティーで早百合さんに会って。興信所でお願いしたら、子どもがいることを知って。やっと会えたのに早百合さんは僕を突き放した。“ちゃんと自分の足で稼げるようになったら迎えに来て”って」
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