シンデレラのドレスに祈りを、願いを。

悠季くんはネットからプリントした紙を私に見せた。

ペンシルビルの１階、ウナギのような細長い間取り。奥には居住スペースがあり、ビルの管理人室のようだった。


『管理人兼務のテナント募集なんだ。だから賃貸料が格安。管理人っていっても上階の鍵の管理だけで設備関連のメンテは契約業者が入るから素人でも大丈夫。どう？』





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悠季くんに保証人になってもらい、開店資金を銀行から借りることができた。内装は悠季くんと通ったカフェのようにナチュラルなものにした。木目を生かした家具、派手すぎない観葉植物、暖色系のペンダントライト。従業員は雇えないからひとりで切り盛りできるメニュー。作業効率を考えて動線の短い配置、釣り銭を煩雑にしないための税込み価格設定。チラシやネット広告は打たずに黒板にメニューを書いて歩道に出す程度。

奥の居住スペースはそのまま使った。市営住宅よりは広くなって奥の６畳間を悠斗にあてがうと喜んだ。手前の８畳間をカーテンで仕切り、半分をダイニングにして半分には私のベッドを置いた。

転校したくないという悠斗の意志を尊重してここから電車で通わせている。

お客様の入りは順調だった。特に税込み１０００円のランチは飛ぶように売れた。毎日売り切れで数を増やしたくてもひとりでは限界があって、パートさんを雇うことにした。