シンデレラのドレスに祈りを、願いを。
★4
*―*―*
★★★
お店を開業してからというもの、悠季くんは月に一度やってきて食事をするようになった。ランチタイムにきて限定の日替わりワンプレートを食べ、食後にミルクティを注文する。
お洒落なのか無精なのか判別の着かない髭を顎に生やし、ホイップの浮かんだカップをすする。違和感しかないその光景に周りのお客様もクスクス笑うこともあって。
そして養育費の入った封筒を会計のときに一緒に置いていく。でも書き入れ時のランチタイムでは挨拶もろくにできなくて、目を合わせるだけで。
そんなことが数回続いて、悠季くんは午前中に現れるようになった。モーニングの時間が終了し、ランチが始まる前の谷間の時間だ。
給料日の朝、10時。ドアの鈴を鳴らして悠季くんはやってくる。
課長職に昇進して時間の融通が利くようになったらしい。朝出勤してきた部下たちに仕事の割り振りを抜け出してくる。そしてブランチともいえる食事をしてオフィスにもどっていく。
その頃から悠季くんはキスをするようになった。お客様がいないタイミングを狙って。
料理をテーブルに置こうと屈んだ瞬間、隙をつくように、ちゅ、とキスをしたり。レジでお会計をするときに顎をつまんで、ちゅ、とか。
『もう。だめ。誰が見てるかわからないから』
『誰もいないでしょ?』
『だめ……んん……っもう!』
★★★
お店を開業してからというもの、悠季くんは月に一度やってきて食事をするようになった。ランチタイムにきて限定の日替わりワンプレートを食べ、食後にミルクティを注文する。
お洒落なのか無精なのか判別の着かない髭を顎に生やし、ホイップの浮かんだカップをすする。違和感しかないその光景に周りのお客様もクスクス笑うこともあって。
そして養育費の入った封筒を会計のときに一緒に置いていく。でも書き入れ時のランチタイムでは挨拶もろくにできなくて、目を合わせるだけで。
そんなことが数回続いて、悠季くんは午前中に現れるようになった。モーニングの時間が終了し、ランチが始まる前の谷間の時間だ。
給料日の朝、10時。ドアの鈴を鳴らして悠季くんはやってくる。
課長職に昇進して時間の融通が利くようになったらしい。朝出勤してきた部下たちに仕事の割り振りを抜け出してくる。そしてブランチともいえる食事をしてオフィスにもどっていく。
その頃から悠季くんはキスをするようになった。お客様がいないタイミングを狙って。
料理をテーブルに置こうと屈んだ瞬間、隙をつくように、ちゅ、とキスをしたり。レジでお会計をするときに顎をつまんで、ちゅ、とか。
『もう。だめ。誰が見てるかわからないから』
『誰もいないでしょ?』
『だめ……んん……っもう!』