シンデレラのドレスに祈りを、願いを。

『そんなに驚いたの? それとも幻滅した? 僕が高校生で』
『ううん、びっくりしただけ。幻滅なんてしてない。悠季くんこそ私、年上で……』
『早百合さんは素敵だし、かわいい。それだけじゃダメ? それとも未成年は対象外なの?』
『そんなことない。悠季くんだって素敵だし落ち着いてるし』
『じゃあいいよね? どこいく? って言っても制服だから校則で禁止されてるところは行けないけど』


近場のカフェに入り、空いていたカウンター席に着く。悠季くんはシナモンチャイを頼んだ。お砂糖をたっぷり入れて満足そうに飲む。見かけによらず甘党らしい。

改めてお互いの自己紹介をする。

悠季くんはあのホテルグループの御曹司。3人兄弟の一番下でお兄さん達ほど過大な期待はされていなかったけれど、いずれはホテルグループを継いで3人で切り盛りしていくことになるらしい。

そして冬に受験を控えている高校3年生。付属高校なのでエスカレーター式に進学はできるが、自分の求める学部学科がなく、他の大学を受ける予定。

そのため毎日の塾通いに加え、バイオリンやお茶の習い事、さらに私と出会ったパーティーのようにしがらみの会合にかり出されることもあって。

私と会う時間が作れるのは学校から自宅へ帰る途中の夕方だけ。今日も18時にはもどらなくてはいけない。
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