シンデレラのドレスに祈りを、願いを。
§舞踏会をもう一度
☆ Cinderella story
*―*―*
当日。
私はジャケットを羽織り、悠斗は高校の制服を着て、待ち合わせのロビーに向かった。
サトーホテルズグループ、その中核に位置するメインブランドのホテル。
夕刻。混雑するロビー。
悠希くんはいた。空いているソファがあるにもかかわらず、立ったまま腕時計と壁を交互に見つめていた。
あんな忙しない悠季くん、久しぶりだ。図書館で待ち合わせていた頃、私が遅くなるとあんな風にしていたっけ。
「悠季くん、お待たせ。待った?」
「ううん。時間前だし。あれ、早百合さん、この服……」
「覚えててくれた?」
「もちろんだよ。あのときの」
私はあのとき悠季くんが買ってくれたドレスを着てきた。ラベンダー色のドレス。靴ももちろん、あのときに履いた白い靴。首元にはパールのネックレス。
悠季くんは瞳を潤ませて私を見つめる。
「きれいだね、早百合さんは。本当に変わらない。素敵だよ」
「もう……。あ、悠季くん、一応紹介するわね。息子の悠斗」