シンデレラのドレスに祈りを、願いを。
どちらからともなく、つなぐ手と手。隣を歩く悠季くんは足を止めた。
私の顔を見つめる。
悠季くんが屈む。顔が近づく。目をつむる。わずかに触れた唇。
『早百合さん、好き』
『私も』
もう一度触れた唇。悠季くんの唇は震えていた。
きっと初めてなんだと思った。彼のファーストキス。
*―*―*
それから毎週火曜日が私と悠季くんのデート・デーになった。
許された時間は1時間。カフェや本屋さん、雑貨屋さんに行く程度のデート。
人混みではこっそり手をつないだり。
夕暮れの公園でキスをしたり。
未成年との小さな恋を私は楽しんでいた。
そう、楽しむだけ。
この子とは結ばれることはない、そう悟っていたから。
年の差に加え、身分差。
きっと悠季くんが大人になったら、悠季くんに相応しい女性が名乗りを挙げるだろう。どこかの令嬢。身分も身なりもきちんとした女の子。
それは私ではないのだ。
ところが……。
*―*―*