キス・イン・ザ・ダーク
ファム・ファタール
それからというもの、砂夜は俺の隣に座るようになった。


恋人のように寄り添って、囁くように話しかける。


でも、それだけ。


砂夜は、『恋人のふり』を楽しんでいるだけだ。


俺に興味なんか持っちゃいない。


だから、俺はあの時彼女を選んだんだけれど。


時に背中で、時に視線で。


楽しげにほかの女性を牽制してくれる。


実に効果的に。




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