ホワイト・バースデイ

「そりゃどうも」


私はいつもの調子で可愛いなどと口にする男の言葉を適当に流して、それ以上のこと言わせないために話題を変えた。


「そういえば結城はバレンタインに誕生日だったよね」
「そうそう。誕生日プレゼント、全部チョコとかクッキーになんの。あれはクソ」


結城は誰か見ても、見た目だけで言えば完璧なイケメンだ。整った顔のパーツにハーフと言われても疑わない高い鼻。
学生時代にやんちゃしていた名残で空いたピアス穴も、女子社員達曰く「色っぽい」らしい。


大学からの知り合いで、同期としてこの会社に入ったために一緒に過ごした期間が長すぎる。まさに親の顔より見たこの顔。

もうこの人がイケメンなのかそうじゃないのかもよくわからない。でも、周りが騒ぐのだからそうなんだろう。


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