ホワイト・バースデイ
「うん。千里、鈍感だから伝わんなかったらどうしようって」
箱を持つ私の手ごと包み込むように掴んで、結城はゆっくりと箱を開けた。
箱の形にぴったりハマるクッションと、くぼみに引っ掛けられた銀色のチェーン。それを辿って視線を落としていくと、しずく型のシルエットに花が咲くように埋め込まれたピンク色の宝石。
「ネックレス?」
「そう。千里に絶対似合うって思って」
アクセサリーや宝石に詳しくはないけど、安物特有の継ぎ目の接着部分の粗さがなく、滑らか。宝石部分は窓から入ってくる陽射しを反射して煌めいている。
これ、絶対高いやつじゃん。
なんて思っても口に出すのは無粋だと判断して、私は動揺を隠さずに眉をへの字にして結城を見上げた。
「こういうの、本命の子だけにしないと勘違いするよ?」
「俺もそう思う」
「なら……」
言いかけて、結城の頬が少しだけ赤く染まっていることに気が付いて、私は目を見開いた。