ホワイト・バースデイ
「じゃあこれから好きになってよ」
結城は私の曖昧な返答に、少しだけムッとしたように眉をひそめた。
そして、私の手首を優しく掴んで顔を近付けてきた。
「ね、キスしていい?」
「だ、ダメ……」
「じゃあ突き飛ばしていいから」
私の返事なんかお構いなしで、結城はその整った鼻先を私の鼻にくっ付けた。猶予を与えるように、そのままでしばらく止まる。
それでも私の身体は動くことができなくて、結城の唇が私の唇を軽く掠めた。
「嫌じゃないってことで、いい?」
最終確認のために紡がれたその声に、ほんの少しの不安そうな色が混じる。
いつもは何をするにも自信満々で、適当にこなしてみせるくせに。
私が何も言わずにいると、結城はそっと唇を重ねてきた。男のくせに柔らかくて、甘い唇が心地良くて私は目を閉じた。
それから、何度も唇が離れてはまたくっついて、じゃれつくようなキスを繰り返された。