バッドテイストーヴァンパイアの誤算ー
こんなことするつもりはなかった、彼女を傷付けて壊すつもりなんてない
だけど、おれは止まれなかった
彼女がおれの言葉を信じないからー
重く淀んだ血生臭い香りが充満している
彼女が色を失った顔でこちらをみている
「…っ、…っ」
カダガタと震えて声さえ出せていない
取り出したばかりで俺の手に握られまだ生々しく鼓動する塊は血まみれでそれがなんなのかさえ一見分からない
でも、彼女はもう理解しているはずだ
これが取り出された位置と身体から切り離されてなお筋肉は運動をやめずに収縮し続けるその塊が何なのかを
それが取り出された胸からはだらだらと血が流れ続けている
オレにとってはこんなこと大したことない、
一見突き放すようだけど彼女の優しさに溢れた言葉の方が文字通り胸をえぐってくるー