バッドテイストーヴァンパイアの誤算ー
その時カタンと音がした
音のする方へ息をするのも忘れてかけていく、二階のサンルームだ
「!」
彼がハンガーに手をかけたまま私の気配に気付いてこちらを振り返りいつもように優しい瞳で見つめる
「早かったな」
「っ、あなたが言ったんじゃないですか、早く帰ってこいって」
彼は目を見開いて驚いた表情をしたかと思うと、さっきよりも笑顔でこちらへよってくる
(あぁ、もう無理だ、逆らえない)
眩しすぎて直視できなくてそのまま斜め下へ目線を下ろす、彼の満面の笑みに照れて恥ずかしい
彼は構わずに私をぎゅっと抱き締める
「何してたんですか?」
状況的に分かりきったことを聞くけど、ちゃんと答えてくれる
「せんたく…、また回しっぱなしだった」
「もしかして、たまに干してくれてます…!?」
私はよく洗濯機を回して忘れることがあるけど、ここ最近は気付けば洗濯物が干されてた
亡くなった彼もこうやって文句も言わずに私を助けていてくれた
(なんで…、この人は全然違うのに)
ははっと笑って私の頬を撫でる
彼の瞳を見つめていると心がぎゅっとなる
それに耐えるように眉と口に力を入れる
「あ…りがとうございます」
やっと絞り出す言葉だけど、本当に言いたいことはこんなことじゃないはずだ
彼の顔がゆっくり近づいて唇が優しく触れてまたゆっくり離れていく
「なんで、こんなことしてくれるんですか?」
「シワになるだろう?」
「そうじゃなくて、なんで私に優しくするんですか?」
いつもと様子が違う私に気付いたようで、少し真剣な眼差しになる
「どうした?」
今の気持ちを何て言えばいいかわからなくてすがるように彼の瞳を見つめ返すことしかできない
「…いとしい、お前が愛しいからだ」
彼の返答に驚いてしまう
「だから、何でもしてやりたいんだ」
(しょうがなく私の側にいたんじゃないの?)
(あなたはヴァンパイアで人間とは違う、ずっと自由なのになんでただの人間の私を選ぶの?)
「気づいてなかったか?」
すごく不服そうにこちらをみるけど、こんなに優しくて綺麗で何でもできる素敵なヒトが言うことを信じられない
混乱したまま見つめ返すことしかできない
はーと呆れたように息を吐く、そしていつもみたいに私を軽々持ち上げる
「相変わらず鈍いな、それに疑い深い」
彼の首に腕を回してぎゅっと抱きつく
「自分でもこれ以上ないってくらい行動に出てると思っていた、どうすれば、信じる?」
「…一度もこんなこと言ったことない」
「そうか?いつも思ってたから言ってるとばかり…」
恥ずかしくて顔が熱くてさらに腕に力が入ってしまう、そんな私を見て彼は上機嫌でまた軽くキスをしてくる
未だに信じられないけど、もはや本当かどうかはどうでもよくてただただ心がいっぱいだ
音のする方へ息をするのも忘れてかけていく、二階のサンルームだ
「!」
彼がハンガーに手をかけたまま私の気配に気付いてこちらを振り返りいつもように優しい瞳で見つめる
「早かったな」
「っ、あなたが言ったんじゃないですか、早く帰ってこいって」
彼は目を見開いて驚いた表情をしたかと思うと、さっきよりも笑顔でこちらへよってくる
(あぁ、もう無理だ、逆らえない)
眩しすぎて直視できなくてそのまま斜め下へ目線を下ろす、彼の満面の笑みに照れて恥ずかしい
彼は構わずに私をぎゅっと抱き締める
「何してたんですか?」
状況的に分かりきったことを聞くけど、ちゃんと答えてくれる
「せんたく…、また回しっぱなしだった」
「もしかして、たまに干してくれてます…!?」
私はよく洗濯機を回して忘れることがあるけど、ここ最近は気付けば洗濯物が干されてた
亡くなった彼もこうやって文句も言わずに私を助けていてくれた
(なんで…、この人は全然違うのに)
ははっと笑って私の頬を撫でる
彼の瞳を見つめていると心がぎゅっとなる
それに耐えるように眉と口に力を入れる
「あ…りがとうございます」
やっと絞り出す言葉だけど、本当に言いたいことはこんなことじゃないはずだ
彼の顔がゆっくり近づいて唇が優しく触れてまたゆっくり離れていく
「なんで、こんなことしてくれるんですか?」
「シワになるだろう?」
「そうじゃなくて、なんで私に優しくするんですか?」
いつもと様子が違う私に気付いたようで、少し真剣な眼差しになる
「どうした?」
今の気持ちを何て言えばいいかわからなくてすがるように彼の瞳を見つめ返すことしかできない
「…いとしい、お前が愛しいからだ」
彼の返答に驚いてしまう
「だから、何でもしてやりたいんだ」
(しょうがなく私の側にいたんじゃないの?)
(あなたはヴァンパイアで人間とは違う、ずっと自由なのになんでただの人間の私を選ぶの?)
「気づいてなかったか?」
すごく不服そうにこちらをみるけど、こんなに優しくて綺麗で何でもできる素敵なヒトが言うことを信じられない
混乱したまま見つめ返すことしかできない
はーと呆れたように息を吐く、そしていつもみたいに私を軽々持ち上げる
「相変わらず鈍いな、それに疑い深い」
彼の首に腕を回してぎゅっと抱きつく
「自分でもこれ以上ないってくらい行動に出てると思っていた、どうすれば、信じる?」
「…一度もこんなこと言ったことない」
「そうか?いつも思ってたから言ってるとばかり…」
恥ずかしくて顔が熱くてさらに腕に力が入ってしまう、そんな私を見て彼は上機嫌でまた軽くキスをしてくる
未だに信じられないけど、もはや本当かどうかはどうでもよくてただただ心がいっぱいだ