バッドテイストーヴァンパイアの誤算ー
先ほどからの行為で部屋の中はオレと彼女の体液、そして彼女の豊潤な血液の香りがしていて空気は重く人間ならこの異様な空間に顔をしかめるだろう
しかし、オレにとってはどんなドラッグよりも興奮を掻き立て理性を失わせる空間となっている
至るところから血を流した跡、全身血塗れで力なくだらりとして目を閉じる彼女
何も知らない人間がこれを見れば無惨にも惨殺された死体と勘違いするだろう
だがオレにとっては、最高に美味そうなフルコースの美しいメインディッシュだ
散々オレに吸血され弄ばれた彼女は既に気を失っている
静かに寝息をたてる彼女、小さく震える鼓動は規則正しい
そこを確かめるように規則正しく上下する谷間に鼻を近づけその匂いを鼻いっぱいに嗅ぐ
彼女の血と身体によりオレは非常に満足して気分は上々だ、だからこのまま…
(ヴァンパイアにしてしまおう…)
心臓を抉り出してオレの血を吸わせてまた元に戻せば彼女はオレだけのヴァンパイアになる
気を失っても彼女の中で遊んでいるオレはこのまま彼女を変化させてしまいたい
(そんなことは許されない)
本当は俺だって彼女と永遠にこうしていることを望んでいるくせに頭の隅で煩い
心臓辺りにゆっくり少しだけ爪を立てる、五本の爪の先からは点々と赤い滴がぷっくりと盛り上がる