バッドテイストーヴァンパイアの誤算ー
そっと牙に口付けをする
そのままぎゅっと握りながら彼の名前を呟く
ロキがピクッと起きて、部屋から出ていってしまう
隣にあった大きな温もりがなくなって、とたんに心細くなる
きっと彼を解放すればこんな風に振り返らず私は置いていかれる
そう思うと胸が張り裂けそうだけど、それでいい
それが正しくて、彼のためになることだから
窓際にたって、蒼白く光る月を見る
彼は暗い私をお月さまみたいに優しく静かに照らしてくれていた
彼がいなくなったらまた真っ暗になるのだろうか、そんなことはない
夜の間は見えないけど、昼間のように賑やかな子供達との生活は太陽みたいに私にいきる力をくれる、子供達とロキがいる
だから、暗い独りの夜を耐えればいいだけ、それも前はできていたから大丈夫