バッドテイストーヴァンパイアの誤算ー

だけど、今では私にはそれがとても怖い

こんな風に私のことを愛しく感じるのは本人が気づかぬうちに勝手に洗脳されているように思えるから

とても大切な人が自分達の身勝手のせいで洗脳され自由を奪われていることが怖くて怖くてしょうがなくて

これ以上聞くことは耐えられないから、彼の口を震える両手で塞ぐ

「…ご、めんなさい」

頭を下げその私を慈しむ視線さえ怖くて最初は彼の目を見つめることが出来なかった

私は泣く資格なんてないのに両目から溢れだす涙を押さえることができない

彼が私の両手首を掴むから、目線を合わせて首を横に何度も振る

「ほんとうにっ、ごめんなさい、」

今は何をどう伝えれば言いかもわからないし、こんな彼といることに耐えられない

「かえってください、ごめんなさい」

いつも強引な彼が、あまりの私の異常さを察したのかすっと身を引いて音もなく消えた