バッドテイストーヴァンパイアの誤算ー
ロビーには昨日宿泊した客や荷物を預けに来た客でいっぱいだ、
老夫婦や、隣なんかはうちよりもずっと幼い子供をつれた夫婦で大変そうだ
ちゅーちゅーストローでジュースを飲む姿が、思わず子供達の幼いときを思い出してふふふと顔が緩んで目で追ってしまう
母親が席を立った、父親は仲居さんと話している、幼い子はそのおぼつかない手で紙パックを持って母親を追いかけようとする
しかし、足元もおぼつかないのでちょうど私の前でこけそうになる
「!」
子供を受け止めることはできたけど、受け止めた衝撃でその子の持っていた紙パックがつぶれてジュースがその子にかかってしまっていた
首にかかったままのタオルで声をかけながら拭いてやる
子供はふいても小さな浴衣が濡れてしまったままだ、どうせここでもらったタオルなのでそのまま持っていってもらう
(よくあったな~、ジュース持って人にぶつかっちゃったりとか)
初めて人にぶつかってジュースをかけてしまった時は、さすがに彼もと真っ青になって一緒に謝ったな
今じゃ、そういうことはほとんどなくなってしまった子供達がたのもしいけどちょっと寂しい
(もう彼とあんな思いや子供達の成長を喜び合うこともできなくなって2年もたつのか…)
「いくわよ~!」
「ロキのコマとおなじやつかってくれた~」
「ぼくも~」
そうして、お土産をいっぱい持った母と同じくおもちゃを買ってもらってホクホクの子供達と温泉を後にするー