バッドテイストーヴァンパイアの誤算ー
そのままいつものスマホのアラームで目覚める
慌てて朝の準備をする、そのまま慌ただしく日中が過ぎもうそろそろ子供達が帰ってくる時間だ

結局、あの男は現れなかった

(そりゃそうだよね、あんな傷ついた顔してたら、二度と私になんかあいたくないだろうな)

だけど、私は心の隅で本当は彼が現れるのを期待していた

一年間必死に探していた眼鏡をあの人が持っているような気がしたからだ…

「ママ~、ただいま!」

元気な声がする、ほっとして玄関に迎えにいく

「おかえり~、今日はちょっと遅かったね~」

と声をかけながらリビングのドアを開ける…

「!」

そこにたっていたものに目を奪われる、

そこには子供達と一緒に一匹の大きな…

(犬?狼?…!?)

とにかく大きい四つん這いになった私と変わらないかもう少し大きいかもしれない、動物がいた

黒くて艶々の毛並み、所々グレーがかっている
目は切れ長でグレイッシュな濃い茶色だ

真っ白くて大きな鋭い歯が口の隙間から覗きハッハッと息を吐いている

すごく綺麗な生き物だ

「ママ~、このこ飼おう~」

「無理!」

犬かもわからないし、何より大きい
うちには子供がすでに二人で手一杯だ

「こんなに大きいのはさすがに無理だよ
拾ってきたところに返してきて!!」

「えぇ~、やだ~」

子供達は抗議する

だけど、その犬はまるで私に怒られているかのように私をちらっと見て目線を下にして立ち上がり、きびすを返して玄関から出ていってしまった

「!」

(やばい、)

とても大人しそうだったけど、あんなに大きな野犬を外に放してはいけない、
(捕まえておいて保健所に連絡しなきゃ…)

慌てて玄関を出るとすでにその犬の姿は見えなかった

でも、心配でそこら辺を少し歩いてみる、するとハスキー犬を連れた人がいる

(これくらいの大きさだったらまだましだったのにな、でもどうせ飼うつもりないけど)

人懐こいようでゆっくり私に近付き匂いを嗅ぐ

「かわいい…ですね」

昔犬を飼っていたのでなれている、もふもふしてたまらない…、そっと首を撫でる

一応、大きすぎる犬のことを聞いてみたけど見かけてないようで、結局その犬は見つからなかった

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