バッドテイストーヴァンパイアの誤算ー
「忌々しい」

ドサッ、

三人目なのに傷口の血は止まってもハンターに傷付けられたところは一向に修復しない

もう三日たって三人を吸血したにもかかわらずこの有り様だ
通常はこの程度の傷だけなら一日も休めばある程度までは回復する、吸血をすればもっと早まり半日で全快する

「やはりハンターの血か、ついに死ぬのか」

森を抜けて隣接する火葬場裏のコンクリートの壁に背中を付けながら座り込む

あの日、戦いはし烈を極めたが最後にハンターの血を全力で吸った

普通ハンターの血はヴァンパイアの天敵であり、傷口につけば回復を遅らせ吸血すれば毒となり死に至る

しかしまれに、ハンターの血を摂取しその毒に耐えることができれば体内に抗体ができ生き延びられる

攻防はギリギリで選択の余地はなかったし、長く生きたから目新しいことも感じられぬ毎日にここで死んでも未練もないとも何処かで思っていた

しかし、いざ死を目の前にして何の抵抗もしないのも退屈だ、何より全身が身体の中から燃えるように痛い

言い伝えと違って太陽なんて平気だが、天を仰ぎ見ると雲間から覗くあの光が今は忌々しい

このまま力尽きて灰になるのかなどとぼんやり考えていると、突然風が吹き粉雪が舞う
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